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絵画商法キャッチセールス、エウリアン

絵画商法キャッチセールス・エウリアン

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■絵画商法キャッチセールス・エウリアン

クーリングオフに関する情報や知識、被害例の入手、悪徳商法被害救済のNo.1サイトです。
このページでは絵画商法キャッチセールス(エウリアン)の悪徳手口を検証します。

絵画商法にご注意!!絵画商法のキャッチセールスの特徴は路上でチラシやハガキなどを配り受け取った人に会場で少し見るだけでもなど言って同行し店内へ連れ込み長時間の勧誘で絵画を売りつけるというもの。

かなり大手のグループが複数の社名、展示場・店舗・画廊などを用いて全国規模で行っているとの相談事例が目立ちます。最近TBSテレビでも放映されたケースです。

彼らは「エウリアン」等の言葉で言われる事もあります。
Wikipedia「エウリアン」←非常に良く書かれています。

絵画商法グループ図
活動の拠点は(新宿、蒲田)(神田)(秋葉原、川崎)(池袋、所沢)(渋谷、宇都宮)(銀座)(川越)(神戸)(広島、京都)(大阪)(千葉、柏)等の各地の大都市をはじめ各地のホテル、展示会場、特設会場などその活動は全国規模になります。

最近は、秋葉原は撤退し、主に「銀座」での被害報告が増えております。

ちなみに、過去に東京都がこのような処分を出しております。

⇒アートクライミング株式会社、株式会社アトリエ凛、アールブリアン株式会社に平成23年3月9日に東京都から指示処分、勧告処分が出されました。

東京都の処分公表はこちら

ユーチューブエウリアンの実態「絵画商法業者への潜入取材〜エウリアンの実態とは?」限定公開。 リンク先は限定公開なのでまずはメール無料相談でご相談ください。相談者にリンク先を返信いたします。

■街頭チラシ配布の絵画商法はキャッチセールスに当たるの?

キャッチセールスに該当するのか?

通常の呼び込みとは、店の中、もしくは店頭で道行く人に声掛けをいたします。
イメージとして解かりやすいのは八百屋や魚屋などの「いらっしゃい安いよ安いよ!」などの呼び込みになります。

この場合はキャッチセールスの条件となる「同行し」という連れ込む行為がない為にキャッチセールスに当たりません。ただの声かけだけですから腕をつかんでひきこんだりすることもしません。

 

ところが絵画キャッチセールスのチラシ配りの人は大抵店から少し離れている事が殆どです。
これは100mや10mという距離の差がある場合は明らかですし「立ち塞がり、付きまとう、腕をつかむ」などがあった場合や「店が2階、出入り自由な店舗でない」等の場合にはたとえ店頭での声かけの場合でも距離に関わらずキャッチセールスの「同行し」にあたってきます。

また呼び止めという条件も止める必要はなく歩きながらの声かけも当然含まれます
よって、大抵の絵画キャッチセールスの場合、街頭で呼び止められてチラシなども離さずに同行し店舗へ連れ込まれる為に現在では「違法行為」とされるキャッチセールスに当たります。

ちなみにこの事についてとある業者に質問状を出したらばこのような回答が帰ってきました。

街中でチラシを配ってお店に引き込む行為はキャッチセールスではないのか?

これは店頭で呼んでいるのでキャッチセールスに当たる「同行し」という要件から外れる。よってキャッチセールスとは考えていない。

ただし、この例でもそうですが、店から離れればもちろんのこと、たとえ店頭であっても、チラシ、ハガキを渡して呼びとめ、声かけをし、立ち塞がり、すがりつき、時には腕をつかんだり、おしゃべりして店に引き込むと言う一連の行為は明らかにキャッチセールスの条件にあたってきます。

業者の回答をまともにうけとると、チラシを受け取った人がその場で自らすすんで店舗に入っていることになります。
ところがこんな人はいるはずがありません。
いきなりチラシをもらってその場ですすんで入る人がいるでしょうか?
必ず勧誘されるような引きとめ行為を受けているはずです。

ちなみにこのような行為は特定商取引に関する法律「第6条の4」でこのように規制されます。
つまり⇒違法行為です。

4 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所等以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

違法行為で販売しているお店の絵画が本当に価値などあるのでしょうか?

■絵画キャッチセールスの問題点とは?

1)現在ではキャッチセールスに法律の規制がかかりまして完全な違法行為となっております。
つまり、悪徳商法というグレーなものではなく犯罪というブラックなものになっている。それでもおなじような営業を続ける会社が多数ある。

2)2次勧誘被害にあうケースが非常に目立つ。1枚だけではなく、2枚、3枚と次々購入させられるケースが目立ちます。

3)クレジット会社の審査も非常に高額ではあるのだが審査が通るケースが多い。
これはとあるテレビの取材に私も同行した事があるのですが、キャッチで店に連れ込んで早々に出てきた人にアンケートを行なったところ、中でアンケートをまず最初に記載させられます。そこに「無職」「フリーター」など書いている人だけが早々に開放されていました。
反面「会社員」「自営業」など収入がある方ほど長時間の拘束勧誘を受けていました。

4)商品の引渡しが遅いのでクーリングオフ期間を超過しやすい

5)実際には価値のないシルクスクリーンなどでも非常に暴利をのせて売っている会社が多い。殆ど鑑定すると二束三文になってしまう。(契約時に貴方だけの特別な割引だからと何十万と値引きをするがこれはそもそもの価値が低い為にそれだけの値引きは可能なのだろう)

6)長時間にわたる監禁的、拘束的な勧誘行為が目立つ。特商法、各地の条例違反に抵触する怖れあり。

wikiのエウリアンも参考に

■絵画商法をしている会社の逃げ口上

以下は過去の中途解約案件で業者が回答した主な内容です。(実話です)緑字は私のコメントです。

街中でチラシを配ってお店に引き込む行為はキャッチセールスではないのか?

これは店頭で呼んでいるのでキャッチセールスに当たる「同行し」という要件から外れる。よってキャッチセールスとは考えていない。←実際には何メートルも離れたところでやっているので明らかにキャッチセールスに該当する。

見に来るだけでもよいからといって呼び出す行為は「販売目的を隠匿したアポイントメントセールスではないのか?」

当社の社員にはそのような教育はしていない。必ず販売目的である旨を電話勧誘等の際には告げるように指導をしている。また「画廊で働いているから絵画を買いに来ない」などいう呼び出し方の方がそもそも不自然であり、画廊に来る=絵画を買うということは一般的常識だ。←絵を売りたいから来てくださいと言わなければいけないのが法律の義務です。不自然なことはなく厳しい言い訳でしかない。

100万の値付けのものがすぐに80万、60万と値下げが出来るというのはおかしいとは思わないのか?特別値引きと言っておきながら100%のお客にそのような値段のまやかしをしているのでは?

当社の商品については専門の部署で適正価格をつけていると自信を持っていえます。値引きは多少はあるかもしれないがそれは会社のサービスであって決して意図的セールストークなどではない。また長い年月をかけてセレクトした企画商品でありそれなりの費用をかけている。←実際の絵画の価値は市場価格で数千円程度など。他社で同等の価値を見出す会社を紹介しろといって今まで1社たりとも回答受けたことがありません。また特別割引はほぼすべての相談者に共通のことで、マニュアル化されている。

長時間の勧誘で逃げられず契約してしまったなどの話が多いがどのように考えるのか?

絵画とは非常に高価なものでもあり、じっくりと考慮して選んでいただく必要がある商品と考えております。ですから必然的に長時間考えられるお客様もおられると考えます。拘束をしているなどは言いがかりです。←これも帰りたくても帰れずに根負けして契約せざるをえなかったという相談者が非常に多い。

絵画が値上がりするから投資的価値もあるなどの説明についてはどうか?

画家によってはそのように上がる商品もあっておかしくない。100%間違っているともいいきれない。ただそのようなことではなくあくまでもお客様の生活の一部として当社は勧めております。投資的目的ではお勧めはしておりません。←これもいいわけで、絵画の相場を知らない消費者に価値基準をごまかすような高価値である旨の不実説明ばかり。

商品の引渡しがクーリングオフ経過後になってしまうのはなぜか?

商品には額装を施します。額も商品の魅力を高める一部と考えます。これは絵によって特別に作るものでその関係で遅くなる事はご了承下さい。←クーリングオフ期間内に自宅に絵が届けば冷静に考えたり家族の反対でクーリングオフされる可能性が高まるので送付しないだけ。

これは異性の魅力をもちいて呼び出すデート商法ではないのか?

社内の調査においてそのようなことは全くないし、メール等を行う場合も展示会や画廊の話題が中心であると確実にでている。←社内調査とは、つまり会社の給与をもらっている人たちの話なので会社の悪口をかけるわけがない。

これは契約目的を隠して呼び出すということに当たらないのか?「見に来るだけでいいから」という言葉はアポイントメントセールスに当たるのではないのか?

逆に「画廊で働いているから絵を買いに来てね」というほうが不自然であり、画廊に来るということは本来絵画を販売している場所であるから来て買ったことは契約者の自己責任だ。←これは不自然だから言わないということですが、完全な氏名等表示義務違反という違反行為になってきます。

とにかく、いいように逃げ口上をしますね。

■シルクスクリーンってどんなもの?

Wikipediaで「シルクスクリーン」で調べると

@安価である。

A紙、布、その他、インクの乗るものであれば何にでも印刷できる。

B曲面印刷が可能である。

C多色印刷が容易である。

D写真のネガから容易に版を作成できる。

という特徴があるようです。ですから希少価値があり値上がり確実とか、120万のものを特別に100万に割り引く等の特別割引等の上代設定には、非常に幅がありそうです。どうやらそれほどの希少価値まではなさそうです。

まずもって版画を投機の対象として購入するのはお勧めしません。版画は基本的にインテリアアートとして、100枚とか200枚が刷られているからです。これだけ枚数があるのですから即日上昇するなどのことは稀でしょう。

実際に過去の相談者に絵画査定会社に査定を頼むことも多いのですが、ほとんどの会社で百万円するものでも、1万円〜2万円程度の買い取り提示額しかでてきません。

ちなみにこの種の業者によく扱われている画家は

天野喜孝
キモ
デイル・ターブッシュ
ミッシェル・バテュ
マーティロ・マヌキアン
マルコ・マヴロヴィッチ
イレーヌ・メイヤー
アルフォンス・ミュシャ
クリスチャン・リース・ラッセン
ジョン・ラッテンベリー
ヒロ・ヤマガタ
ニッサン・インゲル
などが見受けられます。
(注)これらの画家が違法な行為に加担しているなどのことではいっさいありません。

■お得意様への展示会の案内に注意!!

一度絵を買いますと、次はお得意様として案内が来るようになります。ちなみにこの案内を出して良いかはアンケート等で事前にとられています。

中には「○○会員カード」などで年会費15000円などの年会費を取り、クレジットカードまでつけるところもあります。

展示会だ、お得意様むけの見るだけの会だなど思って気楽に行くと、この後の手口紹介のパターンのように

1)この絵はすばらしい目を持っている貴方に買っていただきたい。

2)この絵は、前回のものと実はセットでしてセットでもっておくとさらに良い。

3)前回購入していただけたので、会社で有名になっている。一般の方には絶対にお売りしない絵を特別にお譲りする事が出来る。だれにも言わないで欲しい。

4)あなたはお店のVIPです。ですからこの絵はあなただけにしかお勧めできないと思っていました。

etc・・・の甘い言葉で2枚3枚と買わされる羽目になります。

「展示会」とは見る会ではありません。あくまでもカモを呼び寄せて「販売」する為の会でしかありません。
のこのこと出向く事は狼の山の中へ入っていく羊のようなものでしょう。

なおこの事も業者に中途解約の交渉において質問状を出した事がありました。

展示会だ。見にくるだけも良いから来てという誘引文句は特商法通達においてもあきらかに「販売目的を隠匿した呼出し方法」と言う形式にあたりませんか?と出しました。

展示会に来るのにそもそも「買いに来てください」と正しく伝えるほうが一般的におかしい。また展示会に来るという事は「買う」と言う事はそもそも解かっているのが常識である。

ということなので、買いに来てと法に定められた正しい勧誘文句は、そんなことしたら営業にならないから商売上やっていません。展示場や店、画廊に来るという事は世間常識で絵を買う場所だから買わされるのは解かっているだろと言う回答でした。

⇒よって結論

ハガキやチラシ、電話などで展示場に行くと言う事は=絵を買わされるのが当たり前ということのようです。

絵画キャッチセールスの事例紹介

■ユーチューブでもエウリアンの動画がでています

ユーチューブ

ついていったらこうなったその1

ついていったらこうなったその2

絵画キャッチセールスの手口が本当によくわかります。

元アキバの絵売りだけど質問して?というスレッドもあります。

■絵画商法の参考判例

本件は、絵画の展示会販売に関し、商道徳を逸脱した違法なもので公序良俗に反し無効であるとして、クレジット会社からの請求に対する支払い停止の抗弁を認めた事例である。(青森地方裁判所十和田支部平成13年12月27日判決 控訴 消費者法ニュース53号99ページ)

 

■事件の概要

X:原告(クレジット会社)

Y:被告(消費者)

A:絵画販売業者

B:Aの従業員

C:Xの従業員

Yは、平成11年10月10日に、大手スーパーの店舗において設置された個室においてAから絵画1点を代金82万9000円で購入し、立て替え手数料30万2750円、平成11年11月から16年10月まで1万8800円の分割払い(初回のみ2万2550円)とするクレジット契約をXとの間で締結した。その後、Yが支払わなかったためにXから提訴。Yはこれに対して、次のように主張して争った。

1. 本件契約には、以下の事情があり公序良俗違反で無効である。本件絵画はシルクスクリーン(版画)であって流通価格は14万6000円程度であるにもかかわらず、販売価格は高額であり、暴利行為である。従業員Bは量産可能であるにもかかわらず「この絵画はお客様の特別な絵です」などとこの世に一つしかないかのように欺もうした。BはYが月賦支払い額が1万5000円では支払うことができないと言ったのに対して「社員割引を適用するから月賦支払い額は1万円程度になる」などと説明してYを欺もうした。しかも、個室において午後3時から8時まで約5時間にわたり契約しなければ帰宅できないとまで思わせた結果なされたもので、消費者契約法4条3項の趣旨に照らしても、長時間にわたる不退去の勧誘行為であり違法である。

2. 本件絵画はシルクスクリーンであり流通価格は15万円程度であるのに、あたかも唯一の絵画であるかのように、また月賦支払い額が1万円程度であるかのように申し向けて欺もうし、その結果、Yは錯誤に陥って契約を締結したものであり、売買契約を詐欺により取り消す
3. Yは、本件絵画の価値、価格について、Bの欺もうにより、実際よりも価値のあるもの、価格の高いものとの錯誤により契約を締結したのであるから、売買契約は錯誤により無効である。

理由 1. 本件絵画の作者は多作で、作品によっては300枚程度の原画が存在することがうかがえるとともに、本件絵画はショッピングセンターの特設会場で売買される程度のものであるから、本件絵画が特別な目的で制作された限定版であるとか、極めて少数の原画しか存在しないなどの事実はうかがえない。 

各証拠によれば本件シルクスクリーンの流通価格は、約19万円、約14万円、約20万円、約14万5000円とされている。また本件絵画の作者の作品で最高値で取引される作品の価格は約30万円とされている。これらの価格が業者間の取引価格(卸売り価格)としても、中間マージンや手数料は約30%ないし15%程度と認められる。 

仮に、本件絵画の卸売り価格が約30万円で中間マージン等も最高率の約30%とすれば、本件絵画の約83万円という価格は、卸業者から消費者までの間に4者近い仲買人が存在することになる(83万円÷30万円=2.77であり1.3の4乗が約2.86となる)。卸売り価格が14万5000円程度で中間マージン等が30%とすると6者近い仲買人が、15%とすると12者近い仲買人がいることとなる。 本件絵画は希少価値のあるものとは思われず、卸売り業者から消費者の手に渡るまでの間に多数の仲買いが介在しマージン等で価格が大きく上昇すると考えるのは合理的でない。したがって、本件絵画は、通常の流通価格の少なくとも3倍から5.7倍近い価格でAからYに売り渡されたことになる。 本件絵画の作者が愛好者の多いことで知られる版画家だとしても、特別な希少価値が存在するとは考えがたい本件絵画を前記のような価格で販売することは、著しく不相当な価格による販売であるといわざるをえない。
2. 一方、BはYへの勧誘において、本件絵画は「お客様用の特別の絵」と告げているが、必ずしもYが主張するような「唯一の絵」といったことを意味するものではなく、Yが本件絵画を希少な価値を有すると誤解したとしても、違法な勧誘とまでは評価できない。また、Yと同行した者は、家族と相談しないと決められないとしてその場での契約を拒んでおり、契約の内容を確認する時間的な暇がなかったとまでは認めがたい。むしろ、Yは本件絵画を欲しいと思っていたのであり、本件立て替え払い契約書を作成しているときには、本件絵画を買うことよりも早く帰宅したいと思っていたとしても、自ら望んで本件売買契約を締結したのだから、たとえYが契約に不慣れであったとしても、契約した金額がいくらであるかを全く確認していないという重大な落ち度があったことは否定できない。

3. しかし、Bは勧誘に際しYに対し本件絵画の価格について、具体的な資料を示しながら社員割引価格を適用する旨、月賦支払い額について実際の支払い額の半分近い額の1万円程度になる旨を告げたことが認められる。 そうすると、Bは、Yに対して本件絵画の価格、月賦支払い額について重大な誤解を生じさせかねないような方法で勧誘していることとなる。Yの重大な落ち度を考え合わせても、本件絵画の価格などについてYに重大な誤解を生じさせるような方法を用いたBによる勧誘行為は極めて不相当な方法である。

4. YはBに対して月賦支払い額として1万5000円もの負担はできないと告げていたが、BがXの従業員Cにその旨を告げた形跡はない。割賦販売法は過剰与信を防止するよう努めることを割賦販売業者等に求めているところ、CはYの年収を確認したのみで、その支払い能力を確認した形跡はなく、Bに対しYの支払い能力を確認した形跡もない。そうすると、本件売買契約・本件立て替え払い契約は、過剰与信と評価すべきかどうかは別としても、極めて不相当な方法によって締結されたものと言わざるをえない。

5. 以上のとおり、本件絵画の価格は一般の流通価格の約3倍から約5.7倍と極めて不相当なものであること、その価格についてはYの落ち度も否定できないものの、BによりYが重大な誤解をしかねないような方法による勧誘を受けていたこと、立て替え払い契約の締結の際にもYに対して月賦支払い額の確認すらされていないとうかがわれることなどを考え合わせると、本件売買契約は、商道徳を逸脱した違法なものであって、公序良俗に反し無効であると考える。 本件立て替え払い契約は、割賦購入あっせんであることに争いはなく、本件絵画は室内装飾品と認められるので割賦販売法に定められた指定商品である。 以上のとおり、本件売買契約は公序良俗に反し無効であり、本件立て替え払い契約について、YはXに対して本件売買契約の無効を主張できるので、Yのその他の主張について判断するまでもなくXの請求には理由がない。

■解説

本件は絵画シルクスクリーンのいわゆる展示会販売に関する事例である。展示会場の個室において5時間もの長時間にわたって、支払えないので購入できないと述べている消費者に対して、通常の流通価格の約3倍から約5.7倍の価格のシルクスクリーンを、「希少価値がある」とか「社員割引にするから月々の支払い額が安くなる」などと虚偽の説明をして、高額な立替払い契約で締結させたという典型的な若者を狙った絵画の展示会商法に関する事例である。消費者は、事業者による価格の説明や商品の品質について虚偽があったと主張して、公序良俗違反による無効、詐欺による取消、錯誤による無効を主張して、クレジット会社からの立替金請求を拒否して争った。

本件判決では、販売価格が市場価格の3倍から5.7倍であり暴利であること、月賦価格について説明も確認もせず、支払い能力を確認した形跡もないなど、極めて不相当な方法により締結されたものと言わざるを得ないことなどを総合して、公序良俗に反するものと認めて、クレジット会社からの請求を認めなかった。売買契約の価格、販売方法のさまざまな問題、クレジット契約において消費者の支払い能力を無視した与信の有り様などの問題点などを網羅的に拾い上げて、総合的に商道徳を逸脱すると捉えて、公序良俗違反に該当するとしたもので、相談業務におけるあっせんの際の参考になる事例である。

消費者契約について公序良俗違反を認めた事例としては、原野商法に関して価格や販売方法が不当であることなどから公序良俗違反とした判決、ネズミ講について公序良俗違反とした判決などがある。

■参考判例

・ 名古屋地判昭和57年9月1日 判例時報1067号85ページ(原野商法について公序良俗違反とした事例)

・ 長野地判昭和52年3月30日 判例時報849号33ページ(天下一家の会によるネズミ講について公序良俗違反とした事例)

・ 盛岡簡判平成12年3月6日 判例集未登載(学習教材の訪問販売について業者の信義則違反を理由に請求金額を減額した事例)

■絵画商法キャッチセールスの被害にあったら

1)クーリングオフ期間であれば速やかにクーリングオフを行なうこと。

2)中途解約も可能性があります。契約経緯におかしな点がなかったのか?まずは整理してみること。クレジット会社にも支払停止の抗弁をしてゆこう。

3)2次被害に関してはシンプルに「知らない人から電話が来ること自体おかしい」と考えてください。

4)自分だけの問題にせず必ず相談をして下さい。

5)グループ的に大きくやっているところが多いので主務大臣申出で行政指導を要求する。

6)金額的にも高額ですから諦めず裁判等へ訴えていく。

7)マスコミでこの問題を取り上げてテレビ放映されたことなどもあります。情報提供を行うこと。

■最後に

絵画商法キャッチセールスのトラブルについてはこのページではおおまかなことしか、書いておりません。われわれ行政書士は日々街の法律家として、予防法務にたずさわっております。お困りなことがありましたら、ぜひ行政書士に御相談ください。当事務所でも、オンラインで解約業務受任、クーリングオフ等の法務相談を行っております。お気軽にどうぞ。

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行政書士 吉田安之 監修