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改正特定商取引法について

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■改正特定商取引法の施行日決定

特定商取引に関する法律の改正法が、平成20年6月に公布され、平成21年12月1日に施行をされます。

1年半もの長期にわたり公布期間を設けたのは、政令などの整備や、関係する諸団体、業界などへの周知や準備がそれだけ必要だったということになります。

つまり今回の改正特定商取引法は非常に大きな改正であるといえます。

■改正特定商取引法のポイント

今回の改正法では、いくつものポイントがあります。
その中で主なものを挙げていきます。

 

@規制の抜け穴の解消
  • 別法で消費者被害の是正等ができるものを除き、原則すべての商品・役務を扱う取引(訪問販売、電話勧誘販売、通信販売)を規制対象に。【改正特商法第2条】【改正割販法第2条】
  • その上で、書面交付やクーリング・オフになじまない商品・役務等は、当該規制から除外。【改正特商法第26条】【改正割販法第35条の3の60】
  • 割賦の定義を見直し、2ヶ月以上後の1回払い、2回払いも規制対象に(現行は3回払い以上)【改正割販法第2条】
A訪問販売の規制強化
  • 訪問販売業者に当該契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることを禁止。【改正特商法第3条の2】
  • 訪問販売によって通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は契約の解除等が可能に(消費者にその契約を結ぶ特別の事情があったときは例外)【改正特商法第9条の2】
Bインターネット規制の強化
  • 返品の可否・条件・送料の負担を広告に表示していない場合は、8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能に。【改正特商法第15条の2】
  • 消費者があらかじめ承諾しない限り、電子メール広告の送信を禁止。【改正特商法第12条の3等】
  • 個人情報保護法でカバーされていないカード情報の漏洩や不正入手をした者を刑事罰の対象に。【改正割販法第49条の2】
C罰則・自主規制の強化
  • 違反事業者に対する罰則を強化【改正特商法第70条等】【改正割販法第49条等】(不実の告知、重要事項不告知→現行2年を3年に引き上げ)等。
  • クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度を導入。【改正割販法第35条の18等】
  • 訪問販売協会(既存制度)による自主規制の強化。【改正特商法第27条の2等】

このように、非常に大きな改正であることがうかがえます。

■部分的な適用除外

改正の特定商取引法では、原則すべての商品、サービス(役務)が対象となりますがそのことで非常に不都合を生じるものもあります。

よって、それらを部分的適用除外として対象外であると定めています。つまり今までの指定商品、役務制度から、除外指定制度へと大きく変わったわけです。

現在、このようなものが除外されるとされています。

@)書面の交付及びクーリング・オフの適用除外(法第26条第2項)(訪販、電話勧誘)

当該役務の全部の履行が契約の締結後直ちに行われることが通例である役務(実際にその全部又は一部が契約の締結後直ちに履行された場合) ○キャッチセールスで行われる飲食店、マッサージ、カラオケボックス、海上タクシーの契約(政令)

A)クーリング・オフの適用除外(第3項)(訪販、電話勧誘)【新設:一部法第9条第1項より移行】

購入者等との間で販売条件等の交渉が相当の期間にわたり行われるのが通常の取引態様である商品・役務(第1号) ○現行施行令で規定されている自動車販売に加え、自動車リースについて規定(政令)

契約締結後速やかに提供されない場合には、その提供を受ける者の利益を著しく害するおそれがある役務(第2号) ○電気・ガス・熱の供給、葬儀について規定(政令)


B)クーリング・オフの適用除外(第4項)(訪販、電話勧誘)【新設:一部法第9条第1項より移行】

商品の使用、一部の消費により価値が著しく減?するおそれがある商品を使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(消費させた場合を除く)(第1号) ○現行施行令で規定されている化粧品等の7類型(化粧品等)に加え、配置薬について規定(政令)

相当期間品質を保持することが難しく、品質の低下により価格が著しく減?するおそれがある商品(第2号) ○該当なし(政令)

少額の現金取引(第3号)
○3000円未満(政令)

■展示会商法などの通達の明確化

従来、アポイントメントセールスなどに分類される「展示会商法」などにおいて通達ではこのように「営業所等」というものを定義しています。

通達省令第1条第4号の「一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であって、店舗に類するもの」は、これら以外の比較的短期間に設定されるものを念頭においており、@最低2、3日以上の期間にわたって、A商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状態のもとで、B展示場等販売のための固定的施設を備えている場所で販売を行うものをいう。

ところが、これを悪用し、店舗とみなされることからクーリングオフ妨害を行うような業者が多発したために、明確に通達で明確化されました。

2、3日以上の期間にわたり商品を陳列し、販売のための固定施設を備えている場合でも、その場で販売員が取り囲む等の他にも例示を追加し、消費者が自由意思で契約締結を断ることが困難な状況で販売が行われる時は、外形要件を満たしていても「営業所等」に該当しないよう通達を明確化する。

(具体例)
・販売員が消費者を取り囲んだり、消費者に強引に商品を使用させ、あるいはその一部を費消させて勧誘すること
・高額商品等の特定の商品についてのみ繰り返し勧誘するなど、陳列された商品を自由に選ばせることなく勧誘すること
・勧誘に際して、消費者の履き物を隠すなどによりその場からの消費者の退出を妨げること
・着物の着付け教室と同会場で着物の即売会が行われる場合において、実際には着物を購入しなければ講習自体も受けられないにもかかわらず、着付け教室のみの参加が可能であるように表示するなどしているときには、当該商品について勧誘する意図を告げたことにならない。
・パーティーや食事会等への招待のように告げながら、パンフレット等に消費者の目に留まらないような小さい文字で「新作商品をお勧めする即売会があります。」と記載するなど、実質的に販売する意図が示されているとは言えない場合は、勧誘する意図を告げたことにはならない。

つまりこのような場合は、店舗とみなされないために「訪問販売」ということになり改正特商法の規制を受けることになるわけです。

■訪問販売のガイドライン

改正の特商法では、訪問販売への規制が強まります。そこで、ガイドラインを定めてどのようなものが違法行為となってくるのかの指針を明確にしています。

@「当該売買契約又は当該役務提供契約」について

○再勧誘禁止の対象となる「当該売買契約又は当該役務提供契約」とは、勧誘の相手方が契約を締結しない旨の意思を表示した場合における、その意思の対象たる売買契約又は役務提供契約を指す。「当該」に該当するか否かについては、個別事例ごとに判断。

・ある健康食品(サプリメント)の売買契約の締結について勧誘している場合に、「このサプリメントはいりません」という意思表示がされた場合は、当該サプリメントの売買契約を締結しない旨の意思表示。
・ある浄水器の売買契約の締結について勧誘している場合に、「浄水器はいりません」という意思表示がされた場合は、その際に勧誘している特定の型式の浄水器のみならず、広く浄水器全般について売買契約を締結しない旨の意思表示。
・台所リフォームに係る役務提供契約の締結について勧誘をした際に、「うちはリフォームはしません」という意思表示がなされた場合には、台所のみならず、リフォーム工事全般について役務提供契約を締結しない旨の意思表示。

A「契約を締結しない旨の意思」について

@.意思表示の方法について

○契約締結の意思がないことを明示的に示すものが該当。具体的には、相手方が「いりません」「関心がありません」「お断りします」「結構です」など明示的に契約締結の意思がないことを表示した場合。
○「今は忙しいので後日にして欲しい」とのみ告げた場合など、その場、その時点での勧誘行為に対する拒絶意思の表示は、「契約を締結しない旨の意思」の表示に当たらない。 ○また、例えば家の門戸に「訪問販売お断り」とのみ記載された張り紙等を貼っておくことは、意思表示の対象や内容が全く不明瞭であるため、本項における「契約を締結しない旨の意思」の表示には該当しない。

A.意思表示の効果の範囲について ○「契約を締結しない旨の意思を表示した者」に対して、その後引き続きの勧誘と再び勧誘を行うことを禁止している。 ○したがって、同居者の一人が契約を締結しない旨の意思を表示したからといって、他の同居者に対して勧誘を行うことは直ちに違法とはならないが、一度契約を締結しない旨の意思を表示した者の住居を訪問することは、例えば同一人物に対する再勧誘を行うこととなる場合があり得るものであり、そのような場合には違法となる。

B「勧誘をしてはならない」について

○「勧誘をしてはならない」とは、その訪問時においてそのまま勧誘を継続することはもちろん、その後改めて訪問して勧誘することも禁止。
○同一会社の他の勧誘員が勧誘を行うことも当然に禁止される。
○勧誘が禁止されるのは、Aで示したように「当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について」であり、「当該売買契約又は当該役務提供契約」に当たらない別の商品等の契約についての勧誘は禁止されない。
○同じ商品等の契約であっても、例えば、数ヶ月から1年単位での契約が通常である商品等については、その期間が経過すれば別の商品等の契約と考えられる。
また、季節毎の商品の入れ替えや毎年の新機種の市場投入がある商品等については、商品の旧型化による価格低下等が生じるおよそ数ヶ月や1年が経過すれば、別の商品等の契約と考えられるなど、その商品等の性質等にかんがみて、相当な期間が経過した場合は、実質的に別の商品等の契約であると考えられる場合もある。

このように、再勧誘禁止に関する明確なガイドラインが出されます。断り方も非常に重要になってくるということです。

■過量販売について

改正法では、次々販売などの被害が多発したことから過量販売に規制がかかりました。
より一層の消費者保護がかかります。

法第九条の二 申込者等は、次に掲げる契約に該当する売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等に当該契約の締結を必要とする特別の事情があったときは、この限りでない。
一その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品若しくは指定権利の売買契約又はその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えて役務の提供を受ける役務提供契約

 

  • 代金等の返還に関するルール(精算ルール)は、クーリング・オフ規定と同様となる。
  • 第9条の2に基づいて契約が解除された場合に、代金返還等については、第9条第3項〜第8項が準用されるため、クーリング・オフの場合と同様の取り扱いをすることとなる。
  • 損害賠償・違約金の支払いは請求できない
  • 引取り費用は事業者負担
  • 商品の使用利益や役務の対価は請求できない(改正法第9条第5項で商品について使用利益を請求できないように規定された。)
  • 原状回復義務等ただし、消耗品に関するクーリング・オフ規定の適用除外(第26条第4項第1号)等は、過量販売契約の解除については適用されない。

■通信販売にも規制強化が

通信販売には今までじつはクーリングオフ制度というものがありませんでした。そのことで一般市民の誤解が重なり多数のトラブルが起きていました。

そこで、今度の改正法では、返品特約を明記しないと原則的に返品できるというように原則を大幅に変更しました。

通信販売の規制強化(返品特約の表示)

○商品又は指定権利について、返品の可否・条件・送料の負担を広告に表示していない場合は、8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)が可能に。【改正特商法第15条の2等】

○通信販売における契約の解除等(改正特商法第15条の2)
法第十五条の二通信販売をする場合の商品又は指定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該指定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(括弧書き略)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(括弧書き略)には、この限りでない。
2申込みの撤回等があった場合において、その売買契約に係る商品の引渡しがされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。

表示の方法も、ガイドラインでこのように示されています。

省令第九条法第十一条本文の規定により通信販売をする場合の商品若しくは権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、次に定めるところにより表示しなければならない。
三.商品若しくは指定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(法第十五条の二第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)については、顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること。

つまり、解りにくい場所や薄い文字、小さな文字、規約をダラダラといっぱい書いてその中に書くなどはいけないということになります。

■インターネット通販の場合は?

インターネット通販の場合は、さらに強力な規制がかかっています。

返品に関するトラブルの主な原因となっている「返品の可否」・「返品の条件」・「返品に係る送料負担の有無」についてまで省略を認めると、法第15条の2の趣旨が実現できないため、これらについては、省略を認めないこととする。

インターネット通販を行う場合は、広告に加えて、いわゆる「最終申込み画面」においても、返品に関する特約を表示していないと、返品特約を有効にすることができないこととする。
省令第十六条の二法第十五条の二第一項ただし書の経済産業省令で定める方法は、顧客の電子計算機の映像面に表示される顧客が商品又は指定権利の売買契約の申込みとなる電子計算機の操作を行うための表示において、顧客にとつて見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する方法とする。
広告以外に返品特約について表示させる場所は、省令で定めることとなっているところ、商品等の売買契約の申込みとなるいわゆる「最終申込み画面」であれば、申込みをする以前に、必ず消費者が確認する部分であるため、ここに表示しなければ、返品特約を有効にすることができないこととする。(なお、表示方法については、広告における表示方法に準じたものとする。)

○インターネット通販を行う場合は、広告に加えて、いわゆる「最終申込み画面」においても、返品に関する特約を表示していないと、返品特約を有効にすることができないこととする。

規制が強まった背景としては、インターネット通販の場合には、例えば、消費者が申込みに至る途中段階においてブックマークを行い、後日、ブックマークからウェブページに再度アクセスし、広告において表示されている内容を確認することなく申込みを行うことが可能であることなどがあげられる。

ですから、最終画面で確認をさせるということになるわけです。

 

■電子メール広告のオプトイン規制

電子メールの広告についても、規制が強化されました。こちらは一足先に施行されました。

○消費者があらかじめ承諾しない限り、電子メール広告の送信を原則禁止(オプトイン規制)。【改正特商法第12条の3等】→平成20年12月1日より施行

(適用除外)
1)「契約の成立」「注文確認」「発送通知」などに付随した広告→契約内容や契約履行に関する通知など「重要な事項」を通知するメールの一部に広告が含まれる場合
2)メルマガに付随した広告→消費者からの請求や承諾を得て送信する電子メールの一部に広告を掲載する場合
3)フリーメール等に付随した広告→インターネット上で、無料でメールアドレスを取得できるサービスで、無料の条件として、利用者がそのアドレスからメールを送ると、当該メールに広告が掲載されるもの等)の一部に広告を掲載する場合。

■最後に

改正特商法は、非常に大きな改正であるといえます。消費者保護はより一層広がりました。われわれ行政書士は日々街の法律家として、予防法務にたずさわっております。お困りなことがありましたら、ぜひ行政書士に御相談ください。当事務所でも、オンラインで業務受任、クーリングオフ等の法務相談を行っております。お気軽にどうぞ。

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行政書士 吉田安之 監修