この事例は国民生活センターの相談事例です。非常に詳しく書かれていますのでこの場で御紹介致します。なお私の事務所にも最近相談数が増えてきている事例ですね。
 


 使った覚えのないツーショットダイヤルの利用料金を請求されたという苦情が、相変わらず多数寄せられている。業者が利用料金の支払いを催促する方法は、電話や手紙だけではない。実際に自宅にまで出向くこともある。次々と脅迫まがいの取り立てにあっている事例を紹介する。


相談内容

「貴殿は96年夏にツーショットダイヤルを利用しているが、その料金が未納」というファクシミリや手紙が、幾つかの業者から夫あてにきた。その度にファクシミリ、簡易書留はがき、内容証明郵便などで「登録も、利用もしていない。支払う意思はない」と通知してきた。息子(20代後半)が春ごろ使ったことは認めているが、料金は支払い済み。私が頼まれて振り込みに行ったこともある。「使ったなら早いうちに払ったほうがいい」と家族で話し合ったが、その後は息子も夫も使っていないと言う。家族を信じている。「使ったものは払った。使わないものは払えない」と考え、ずっと頑張ってきた。請求が止まった業者もあるが、玄関ドアや、町内のゴミ集積所に督促状を張る業者がいる。近所に住む親兄弟にも恥をかかせてしまった。怖いし、疲れて神経が参ってしまいそうだ。何とかやめさせられないか。(50歳代 女性)


処理概要

相談者が原本のまま送ってきた手紙や張り紙は、次の2つの業者からのものである。

(1)業者A

●登録日   96年7月30日

●利用番組名 ○○○○

●最終利用日 96年7月30日

●利用者が決めた暗証番号 ××××

●請求金額  5万6300円

●延滞金1日500円。直接集金の出張手数料5万円別途。

請求書と共に「当社は暇を持て余している訳ではない。最終通告とする。貴殿の名誉のために忠告する。支払わなければ大恥をかく。私どもの集金部隊は、言葉を理解できないものが過半数を占める。その時になって何か言われても、もう手遅れだ」という書面が入っていた。

(2)業者B

●使用期日  96年8月10日 

●利用番組名 ××××

●請求金額  15万7000円

●回収業者C

赤字で大きく「不在通知」とあり、「夕方7時に有料ダイヤル情報料の集金に伺ったが不在だった。私共は回収業者。必ず回収する」と書いた紙が玄関ドアに張ってあった。数日後の夕方、息子が在宅のとき回収業者Cが集金に来た。やくざのようで非常にしつこくなかなか帰らなかったという。

センターより業者Aに、「大変に物々しい文面だが…。暴力をふるいかねないという印象を与える」と電話を入れた。

業者の回答は次の通りであった。

●この手紙の主旨は、電話を下さい、直接、話しましょうという意味。うちはちゃんとした会社。暴力団ではない。

●請求書に書かれている名前は電話の持ち主(名義人)の名前。必ずしも番組を利用した本人ではない。電話の名義人は電話を管理する義務と責任を負う。名義人の管理下で行われた債務だから、名義人に料金を支払う義務がある。

●ツーショットダイヤルは電話番号と利用者が決めた4けたの暗証番号、この2つで登録できる。登録のあった電話番号に折り返し電話をして、確認している。

●この電話番号で登録されていることに間違いはない。当社は自らツーショットダイヤルやダイヤルQ2の番組を運営し、債権回収も自社の回収部でやっている。請求を取り下げる意思はない。相談者には電話の管理責任があるから払えという業者の理屈は通らないなど問題点を指摘し、使っていないのなら払う必要はないと助言した。相談者は業者との話し合いはやはり必要がないとして、地元警察及び業者所在地の警察へ情報提供をした。その後、業者は留守宅を夜間に訪問して赤いフェルトペンで書いた請求書をドアに挟んだり、封筒に「払うまで追い続ける」と大書きした手紙を送付している。次に、ドアに張り紙をした業者Cに回収業務について尋ねたところ、「Bとは別業者のような書き方だが、それぞれ同じ業者(法人ではない)に所属する。うちは回収部門。BもCも振り込みや整理にいいように××商事、○○商会といった名を名目上使っているだけである」とのこと。相談者はこれも利用していないのに話し合いをする必要はないと判断。この張り紙も警察に情報提供することにした。 


問題点

(1)ツーショットダイヤルは匿名性に特徴があり、料金後払いの場合ここに苦情の因がある。利用する側は登録時に業者に名前や住所を知らせる必要がなく、もとより自 己を証明する書類を提示する必要もない。業者側も番組名と登録させるためのフリーダイヤルの番号だけで広告を出しているところがほとんどである。

(2)業者が利用者を知る手掛かりは利用者が登録に使った電話番号だけである。そのため利用者の支払いが遅れると、その電話番号から電話の加入権の名義人の住所、氏名を探しだし、名義人に利用料を請求する。しかし、このようにして割り出した名義人が利用者であると特定することはできない。利用料は登録して利用した当事者に請求するのが筋であるが、それが不可能な契約の仕組みになっている。利用したという確たる証拠を求めても、それが業者から出てこないのは当然である。また「裁判所の判断に従う」と言う消費者に対して業者が動かない1つの理由でもある。業者は、勢い威迫、脅迫まがいの強行な取り立てを行いがちである。

(3)貸し金業者、割賦販売業者等には取り立て行為の規制がある。

しかし威迫するような文面の手紙を送る、督促の張り紙をする、夜間に電話や訪問をするなど、当該事例のような業者の取り立て行為を規制する特別法はない。貸し金業法で定めている取り立て行為の規制(具体的にはガイドラインの内容)は、社会的規範と考えられる。

(4)筋が通らない理屈で押してくるので、国民生活センターが粘り強く話をしても解決は難しい。手紙、ドア等に張られた督促状、催告書、脅迫的な言葉の入った業者との会話の録音テープなどを警察に届け出ることが、現在とり得る最善の方策である。

(債務不存在の訴えを相談者が起こすことの現実性については検討の余地があろう)。

(5)営業実態がわかりにくい業界である。自社の回収部が直接回収すると言っているが疑問である。弁護士法に触れないように装っていると考えられる。報酬を得る目的で業として回収行為を行っていれば、弁護士法に抵触する可能性がる(弁護士法第72条非弁護士の法律事務の取扱等の禁止)。また、仮に利用していたとしても、支払いを催促してきた業者の口座に振り込むことは慎重さが必要である。支払うべきは契約の当事者である業者(これも特定が難しい)に対してであり、二重払いの危険性が生じる。ツーショットダイヤルの利用者名簿を入手し「未払いの利用料金を払え」と言って、既に支払い済みの利用者から料金を取っていた業者が、詐欺容疑で次々と逮捕されている。このようなサービスを受けることのリスクを、消費者も十分に知る必要があろう。


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