投資マンション手付ゼロ契約の怖さとは?
投資用マンションの相談を受けているとたまに手付金を0円で良いと言われてそのような契約を行ったという話を聞きます。
一見すると、初期費用が抑えられるので手元資金がない方でも買いやすくなりメリットではないか?と考えることもできます。
しかしながらこの手付金ゼロには大きな落とし穴が潜んでいるのです。
投資マンションにおける手付金とは?
宅地建物取引業法では、手付金を全て解約手付の性格とするよう規定がなされています。
(手附の額の制限等)
第三十九条 宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二をこえる額の手附を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
つまり、契約の際に受領した手付金は、解約手付となるので一方が契約の履行に着手するまでは手付放棄をすることで解約ができることになります。
これを業者側からみると、手付金が多ければ多くなるほど、契約に至るまでのハードルは高くなります。これは手元資金がある方でないと買ってくれないというハードルが出てくるためです。
しかし逆に手付金を低くすると、このくらいならばやっぱり解約しようということになって、契約後の解約リスクが高くなります。
しかし現実には、10万円程度の低い手付金で購入契約をする業者が殆どであり、契約まで持ち込めればそのあとのフォローはいかようにもできると考えている業者が多いように思います。
実際に、証拠が残らないことをいいことに、すでに現時点では契約に着手しているので解除はできない。その場合は規定通り20%の違約金を請求するなど、担当から言われて解約を躊躇したなどの相談例もあります。
実際に、証拠が残らないことをいいことに、すでに現時点では契約に着手しているので解除はできない。その場合は規定通り20%の違約金を請求するなど、担当から言われて解約を躊躇したなどの相談例もあります。
投資マンションの手付金を消費者サイドからみると
逆に消費者側からすると、初期費用としてそれ以外にも登記や司法書士手数料などもろもろかかりますので少しでも安いほうが買いやすくはなります。よって手付金は低かれば楽だということも言えます。
さらに、クーリングオフ経過後であっても、比較的定額の手付金であれば放棄して解約するという選択肢も出てきます。
しかしながら、本来は契約時にある程度の高額な手付金を支払うということで、この契約が本当に必要なのかを吟味するという性格もあるわけです。この点を低額な手付にすることで乗り越えて、本来買う必要のない契約を流されるままにしてしまうという事例も多いのです。
手付ゼロは良いのではないか?
このようなメリットを見ると、初期費用は掛からないので一見メリットがあると言えそうです。ですがここに大変大きな落とし穴があるのです。
クーリングオフ期間を経過した後でも、一般的投資マンションの契約の流れでは必要書類の収集、融資の審査、物件の引き渡しと決済とある程度の期日は必要となってきます。
手付金が小額な契約の場合、流されるままに契約をしてしまってあとから後悔する事例も多いかと思います。その際に、この期日が冷静に考え直す再度の期間だということもできるのです。
しかしながら、手付金が少額でもあればよいのですが、これがゼロの場合は、この解約手付による放棄ができなくなるのです。
もう一度条文を見てみましょう。
宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
「手附を受領したときは」と書かれていますので、手付金ゼロはこの「受領」がないことになります。よって解除権が奪われてしまうということになるわけです。
そもそもこの手付解除権は消費者を保護するためのものであり、消費者に与えられた権利ともいえるでしょう。それを知らないうちに奪われるということは大変なデメリットとなります。
また実態上も、クーリングオフ8日間だけでは考え直す期日として短く、その後に考え直す方も多数います。
なので、手付ゼロ契約は非常に恐ろしい契約なのだと言えるのです。
手付ゼロ契約をする際の説明義務
もしこのような契約をする場合は、本来あるはずの権利が無くなるという著しい不利益が消費者に生じることになります。
宅建業者は逆に言えばこのような不利益を必ず知っているはずです。
なのでこのような契約をする場合は、この手付解除の権利が無くなりますがよろしいでしょうか?と重要事項説明で説明をする必要があるのではと考えます。契約解除に関する説明は重要事項説明書でも義務的事項とされています。
実際にクーリングオフ出来る旨、できない旨などのいずれかを記載して説明するといったことは一般的になっています。
手付金解除ができない場合も、本契約は手付金ゼロの為に手付放棄による解除はできませんと記載すべきだろと考えます。
投資マンションは実際の物件もろくに見ないままに流されて契約してしまうケースも増えております。
契約をしてしまったけれど今一度再考したい、担当者に話しても解約に応じてくれない
勧誘を断っても断れないなどいろんなケースがあります。
投資マンションのクーリングオフや手付解除に関するご相談はお気軽にお寄せください。
042-381-1779(マンション相談電話。初回無料)です。
コメントを残す