マルチ商法の問題点

マルチ商法

マルチ商法の問題点

マルチ商法は特定商取引法により連鎖販売取引として規制を受けている業種となります。
古くは物品の販売など限定されている規制内容でしたが、現在はサービスやあっせんなど幅広く取り込まれており規制の幅は拡大していると言えるでしょう。

マルチ商法の定義は?

法令ではこのように定義されます。

  1. 物品の販売(または役務の提供等)の事業であって
  2. 再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を
  3. 特定利益(紹介料や販売マージン、ボーナス等)が得られると誘引し
  4. 特定負担(入会金、商品購入費、研修費等の名目で、何らかの金銭的な負担)を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

つまりは、ねずみ講と違って、何らかの商品やサービスを販売したり提供をする事業が伴う。
それに入ろうとする人に、利益が得られると勧誘をして、そのために費用が必要だとお金を要求するということになります。

ですからマルチ商法の場合は、何らかの商品がセットになっていることが殆どです。多いものは、化粧品、コンサルティング教材、ビジネス商材、DVD、セミナー、投資ソフトなどなど。

マルチ商法のねずみ講化

マルチ商法がなぜ違法なねずみ講と違って未だに合法をぎりぎり保っているかというと、それは商品やサービスの販売や提供という事業が伴うということが最大の要因でしょう。
ねずみ講の問題は、お金のやり取りだけなので、人を誘い込むことだけに終始し、結局そのシステムの中でしかお金は循環しません。よって、ピラミッドの上位の人は利益を得ますが、大多数の底辺は損をします。このようなシステムに問題があるとみられているのです。

ところがマルチ商法の場合は、商品やサービスを会員外に販売すればそちらでの収入を得ることもできますので、ピラミッド内だけでのお金の推移ということにはなりません。なので、ぎりぎり合法でも良いだろうと判断されているのです。

しかしながら、最近はこのような商品やサービスを外部に販売せず、ひたすら会員を増やすことによるリクルートマージンのみを追求するタイプのマルチ商法が増えています。

このようなタイプをたどりますと、事実上ねずみ講と同じ(商品やサービスなどは名目だけ)となっていきます。

よって、今後はこのような商品やサービスの販売などを伴わない、実体ねずみ講に対しては規制強化をし、条件を満たすことのできないマルチはねずみ講の脱法形態ということで違法であるとの明確な対応をしてゆくべきと考えます。

マルチ商法の限界

リクルートのみをたどるねずみ講的マルチでは、人が人を誘う段階上となりますが、物理的にすぐに人口の限界が訪れます。つまり必ず破たんするシステムだということに繋がるのです。
このようなことを説明しないことは、消費者契約法の故意の不利益事実不告知となりえるでしょう。

よって、マルチ会員の収入に関して、商品の販売、サービス提供収入が殆どでない場合は、結果的にねずみ講の脱法手段でしかないということになり、違法としての新規制をかける必要性もあると考えます。

マルチ商法の被害者層

年齢として若年齢層に目立つと言われます。昨今は就職は良くなったとはいえ、終身雇用という幻想は壊れていつまで働けるかも不透明です。さらに雇用は増えども収入は抑えるという社会の為に、若者の収入は減り、貧困率も高まっています。

夢を失った世代に、夢を語るマルチ商法は非常に魅力的に移る可能性があります

さらに、成人年齢の引き下げ(20歳から18歳へ)が今後でてくるので、若年令成人に被害が高まる可能性があります。

消費者関係の委員会などでも話されておりますが、この18~20歳などの成人に対して何らかの対策をする必要もあるかとは思いますし、教育の現場でも知識を得られるべく対策が急務だと思います。

マルチ商法のクーリングオフ

マルチ商法のクーリングオフは20日間と長期の期間設定がされておりますが、契約書を預かってしまったり、商品お届け先を勧誘者のほうに送付するように設定し、家族などに知られての解約を防ぐなどの事例が多発しています。
当然、商品の引き渡しは、現に引き渡す必要があり、さらに送付先の指定はほぼ本人の意思ではなく、勧誘者の指示によることから本人住所地、又は居所以外への送付、引き渡しなどはクーリングオフの起算日であるところに該当しないとするべきでしょう。

また、消耗品などの規定が存在しない為に、ややこしくなるケースもあります。他業種の消耗品規定は使用した分を請求できるという規定が多いのですが、たいていこのような規定にすると試しに開けてみて使ってみてと勧誘者が誘導し開封済みとなってしまい、結局金銭を払わざるを得ないということになってきます。

よって、個人使用量にふさわしいレベルのものまでの基準をつくり、それを超えるような多量の使用は過量使用誘導として請求を拒めるようにすること。

そもそも、他人に販売する前提のものは開けないのが通常ですから、あくまでも個人の使用目安までの消耗品請求とすべきでしょう。

マルチ商法の今後

諸外国では、すでに再販売などの会員外への販売を伴わないマルチは規制対象となっているところも多くなっています。

現状のマルチの実態がほぼほぼ商品は何でも構わずリクルート活動による人的被害の拡張になっている点からも、早急に規制をかけていく必要性があると考えます。

あくまでも、商品を入荷し販売する個人事業者がシステム的につながるというマルチの本来のビジネスモデルであればまだ合法化としての余地はあるかもしれませんが、次なる被害者を生み出すのみの脱法ねずみ講マルチに関しては違法としてねずみ講同様の禁止とするのが好ましいと考えます。

マルチ商法は大変身近に存在しているものです。特に最近は出会い系アプリ、SNSなどにも多数サクラが潜んできています。
クーリングオフなどのご相談も承っております。

042-388-0073(初回無料)までお気軽にどうぞ。




1998年より82000件のご相談
クーリングオフ行政書士事務所

大手テレビマスコミからも取材多数のクーリングオフ代行NO.1事務所。その実力は?




1 個のコメント

  • “物理的にすぐ人口の限界を迎えます”という点について少し注釈を。
    実際にははるかに少ない時点で運用上の飽和点を迎えてるようです。

    理由は、販売者の勧誘行為から悪評が広がるためと、アムウェイ等の、
    ぎりぎり一般向けの商品価値があるマルチ商材であっても近年のインタ
    ーネット販売ルートへの横流しにより底辺販売者の購入価格よりもはる
    かに安い価格での再販売が実現しているため、末端から組織崩壊を起こ
    しているためです。

    30年前でも、アムウェイの末端販売員同士がブラインド勧誘を仕掛け
    合い、アップダイヤの自慢合戦に突入したところなんのこたない、
    アップダイヤどころか4~5世代上の18%が同じ販売員だったという
    アホな話が同じ販売員の下、同じ会計月に数件発生してしまうという
    惨状でした。
    結局その18%はその月目指したSPは達成できず、前月までの無理が祟り
    12%も陥落という結果だったそうです。

    近年、マルチ商材の横流し品買い取り~再販売のビジネスモデルは
    確立し、業者間の競争も激化しておるようです。

    日本アムウェイでいうと私の感覚的な概算では今以降、販売委員数
    は徐々に10万人レベルまで直線的に減らして行くと考えます。

    それとともに、マルチ商材の横流し買い取り~再販売のビジネス
    モデルも業者の撤退が続きいずれ均衡点を迎え、以降、両者の数は
    横ばいで推移するものと予想しています。

  • 瓢六堂 hyourokudou へ返信する コメントをキャンセル

    メールアドレスが公開されることはありません。

    ABOUTこの記事をかいた人

    クーリングオフ悪徳商法解約を専門に行っている行政書士です。 1998年より82000件以上の相談を受けております。 大手のテレビ局、NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京や日本経済新聞など大手のマスコミにも取材多数。 〒184-0001 東京都小金井市関野町2-7-5 クーリングオフ行政書士事務所 Tel042-381-1779 Fax042-381-1836 Mail:den@ga2.so-net.ne.jp