従来の特定商取引法には使用利益というものの明確な規定はありませんでした。
クーリングオフをすると一切の損害賠償は禁止するという意味の明文化はなされていましたが、商品を長期にわたり使用していたケースなどにおいての使用利益の請求は禁止なのか?それとも認められるのかの判断が明確ではなく学説でこれは認めるべきだ、いや認められないのではないかなどの対立があったという状況でした。
私個人は、そもそも消費者を保護するためのものであること。損害賠償を禁じているのに使用利益を認めては、保護の利益が失われること。消費者に悪意をもって利用しようなどの意思がない場合は多いので悪意の方ははずしても大多数の善意の消費者は保護すべきであること。などなどの諸理由で、使用利益は認めるべきではないとの立場をもって臨んでいました。
昨年の改正法で使用利益の請求を認めないとの明確な規定がしめされたことで、より一層の保護がなされたとも思います。
第9条第5項販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは指定権利の売買契約又は役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された商品が使用され若しくは当該権利の行使により施設が利用され若しくは役務が提供され又は当該役務提供契約に基づき役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益若しくは当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭又は当該役務提供契約に係る役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。
なおクーリングオフ妨害等の場合に諦めていたがその後にクーリングオフ解除を主張できるなどに改正された為に期間がある程度たった後のクーリングオフ行使も出てきたためにこのような改正になったのだろうと思います。
Comments