平成23年7月14日に東京都は、絵画等の制作を趣味とする高齢者に「有名な評論家の先生があなたの作品を絶賛しています。」などと電話をかけ、絵画等作品の展覧会出品や画集掲載をもちかけ、消費者が断っても執拗に勧誘していた事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第8条及び第23条に基づき、訪問販売及び電話勧誘販売それぞれに関する業務の一部を停止(6カ月)すべきことを命じました。 絵画等作品の展覧会出品や画集掲載の役務を提供する事業者に対して、特定商取引法による業務停止命令を行うのは、全国で初めてです。
主な不当行為はこのようなものでした。
業務の一部停止命令等の対象となる主な不適正な取引行為
消費者に電話をかけ、評論家の名前を複数挙げ「有名な評論家の先生があなたの作品をいいと絶賛しています。話があるので、会う日を設定してもらえないか。」「この先生方が絵を推薦している。」などと言い、勧誘に先立ち絵画の展覧会出品契約や美術画集の作品掲載の役務提供契約の締結について勧誘をする目的であることを告げていなかった。第3条、 第16条 【販売目的隠匿】
相手方が「今後お宅の会社とは一切お付き合いをする気はない。」と今後の勧誘を断わったにもかかわらず、再び消費者の自宅に訪問し、絵画の展覧会出品契約の締結について勧誘を行った。第3条の2第2項 【再勧誘の禁止】
消費者に対して交付していた契約書面には、消費者が提供を受けようとしている展覧会の作品出展と美術書籍の作品掲載のそれぞれの役務の対価が記載されていなかった。第5条第1項 【契約書面記載不備】
実際は、評論家が消費者の作品を評価や推薦をしていないのにもかかわらず、評論家の名前を複数挙げ、「有名な評論家の先生が、作品がいいと絶賛しています。」「有名な先生方のお墨付きがあり審査を飛び越えて出展が決まっている。」「今、休みを返上して評論家の先生と会議をしているところです。評論家の先生が集まって絵を推薦している。何が何でも絵を載せてもらうようにしなさい、と言われている。」などと告げていた。第6条第1項、 第21条第1項【不実告知】
役務の対価が特別ではないのにもかかわらず、「有名な先生方のお墨付きがあるので審査を飛び越えて出展が決まっているので、審査料が無料で、特に優遇された金額で出展できます。」「あなたは特別で、審査料がなく出展料は●●万円です。」などと告げていた。第6条第1項 【不実告知】
役務の対価の支払い方法が優遇されていないのにもかかわらず、「この金額は一括払いではなく、優遇して最大の回数の分割にします。」などと告げていた。
断わっている消費者に対して、話を一向にやめずに「あとでいくらでも取り消しできるので、とりあえず名前を書いてほしい。」などと告げ契約書面に署名押印させたり、消費者に評論家の名前を複数挙げて「先生方が絵を出してもらえと言っています。」「何が何でも絵を載せてもらうようにしなさい、と言われている。」などと何度も電話をかけ、消費者に「もう一切電話をかけてほしくない。」「断わったら先生方の心証が悪くなるだろう。」と不安に陥らせて契約締結するなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘していた。第7条第4号 省令第7条第1号、 第22条第3号 省令第23条第1号 【迷惑勧誘】
※第3条~第7条は訪問販売の違反、第16条~第22条は電話勧誘販売の違反である。
訪問販売や電話勧誘の解約、クーリングオフなどのご相談 を承っております。その契約を疑問に感じたら専門家のクーリングオフ行政書士事務所まで気軽にご相談ください。
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