東京都は平成27年3月19日、街頭で「読者モデルを探しています。」と声を掛けた消費者に、約10万円の登録費用が掛かることを告げないまま事務所に呼び出し、「仕事は沢山あるから、すぐに10万円は稼げるよ。」などと消費者に告げて、強引な勧誘により芸能事務所の登録契約をさせていた業務提供誘引販売取引事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第57条に基づき、業務の一部停止(6か月)を命じました。 当該事業者は、インターネット上の書き込みにより事業者名や悪い評判が知れわたるのを防ぐため、屋号を短期間で次々と変更していました。
この手のモデルスカウト商法は、若い女性がターゲットになることが多いのですが、名前を変えたりして転々とするなど検索対策なども行っているところも目立ちます。「PHORIA」「Axis」「ELF」「ENAMEL」「BLUE」「Beer」 など名称として用いていました。
検索で悪評が出なかったから安心ということではないということを肝に銘じておく必要があります。
勧誘行為等の特徴はこのようなものです。 渋谷の街頭で、「読者モデルを探しています。」などと消費者に告げ、その場でスナップ写真を撮影する。後日、「一次審査に合格した。今後の選考についての話がある。」と、登録契約について消費者に何も知らせないまま、事務所に呼び出す。 事務所を訪れた消費者に、二次審査の撮影のためにエステに行くよう指示する。エステ施術後に消費者が事務所を再訪すると、「事務所に入るには10万円が必要。」と突然告げ、「専属のマネージャーが付く。」、「仕事は沢山あるから、すぐに10万円は稼げる。」などと事務所登録契約を勧誘する。 契約を断っている消費者に対し、「今決めないと損だからこの場で決めて欲しい。」などと、強引に契約を迫る。
不適正な取引行為としてこのようなものが挙げられています。
「読者モデルに興味はないか。」などと告げて連絡先を入手した消費者に対し、電話を掛けて事務所への来訪を要請していたが、その際、契約の勧誘に先立って、登記簿上の名称である「株式会社 DMP」を告げず、また、特定負担を伴う契約の締結について勧誘をする目的であることを明らかにしていなかった。 第51条の2勧誘目的、氏名等不明示
実際には審査を行っていないにもかかわらず、「一次審査を通過しました。」などと告げ、また、事実でないにもかかわらず専属のマネージャーが付くなどと、消費者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項について不実を告げていた。 第52条第1項不実の告知
契約について勧誘する目的を告げずに電話により誘引した消費者に対して、公衆の出入りする場所以外の場所である事務所において、契約の締結について勧誘を行っていた。 第52条第3項公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘
契約の概要について記載した書面を消費者に交付していなかった。また、契約の内容を明らかにする書面を消費者に交付していなかった。 第55条第1項概要書面不交付同条第2項契約書面不交付
「仕事は沢山あるから、すぐに10万円は稼げるよ。」「登録料は9万9千円掛かるけれど、仕事をしていれば、すぐに元が取れる。」などと、将来の不確実な事項について、利益を生ずることが確実であると誤解させる断定的判断を提供していた。 第56条第1項第2号断定的判断の提供
契約を締結しない旨の意思を示している消費者に対し、「今決めないと損だからこの場で決めて欲しい。」「もし嫌だったら後で辞めることもできるから、今ここで契約書だけ書いて。」などと、迷惑を覚えさせる仕方で勧誘を行っていた。 第56条第1項第3号迷惑勧誘
このような夢見る女性をターゲットにする悪質商法も増えております。春休みなどにも被害が増えますので、くれぐれも繁華街でのスカウトにはご注意ください。
少しでも怪しいと思ったら、すぐにご相談を。クーリングオフの無料相談 も行っております。行政書士吉田安之
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