特定商取引法では、通信販売業者の義務として業者情報の表記を要求しているところになります。
これは、取引の当事者間で相手が誰かが特定できることにより問題発生時の責任の所在の明確化や業者の所在を明記させることにより消費者にとっての取引安全性を高めようという趣旨によるものです。
よって、その表記は現実の営業拠点であるところを記載する必要がありますので、個人事業者の場合は住所であるということになっております。
ところが、個人事業の為に自宅の特定がされたくはないということからバーチャルオフィス等を借りてそちらの所在地を明記することがOKなのか?という問題が出てきました。
そこで、ある会社が事前確認で消費者庁へ回答を求めたところ概要でこのような回答だったということです。
1)記載されている住所や氏名、電話番号が販売業者のものと異なる場合はその旨の明記
2)消費者から請求された場合は、現実の住所や氏名、電話番号等を書面、電磁的記録で提供する旨を明記(そうすれば本来の住所等の記載は省略できる)
3)(2)の請求手続きに費用がかかる場合は、その旨の明記をする。
などを守れば違法ではないと考えられるとのこと。
ただ、これを守ると、バーチャルオフィスの場合はこれはバーチャルオフィスの住所ですと明記しなければいけないので、その時点で消費者にとっては取引相手としての信用性は低くなりますね。現実の所在を公表できないという相手方になりますから。
自分の住所地を公表したくないとしても、請求されたら提供できるようにしておかなければいけませんし、そもそも違う住所だと書かないといけないので、法令を守るとしたらなかなかビジネス的なハードルは高そうですね。
逆を言いますと、バーチャルオフィスのメリットである都心の一等地に営業所があるかのような外観を作り出せる。信頼性がアップしますなどの宣伝文句は通信販売をするうえでは、「ここは現実の営業所所在地ではなくバーチャルオフィスの所在地です」と書かない限りは特商法違反であると見ることも可能なので、バーチャルオフィス業界にとってはなかなか厳しい回答かもしれません。
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