消費者庁は、エターナル・ラビリンスの屋号でエステティック(脱毛)の役務を提供していた特定継続的役務提供事業者の株式会社グロワール・ブリエ東京(東京都港区)(以下「同社」といいます。)に対し、平成28年8月24日、特定商取引法第47条第1項の規定に基づき、平成28年8 月25日から平成29年5月24日までの間、特定継続的役務提供に関する業務の一部を停止するよう命じました。
1.事業者の概要(1) 名 称 :株式会社グロワール・ブリエ東京(法人番号 2010001140172) 屋 号:エターナル・ラビリンス(2)代 表 者:代表取締役 下田 友洋(しもだ ともひろ)(3)所 在 地:東京都港区北青山三丁目11番7号(4)資 本 金:1,000万円(5)設 立:平成15年12月24日(6)取引類型:特定継続的役務提供(7)取扱役務:エステティック(脱毛)
あわせて、同社に対し、特定商取引法第46条の規定に基づき、以下のとおり違反行為の是正等を指示しました。 1.同社は、特定商取引法第42条第1項及び第2項に規定する各書面の交付義務、並びに特定商取引法第45条第1項に規定する書類の備付け義務に違反し、また、特定商取引法第43条が禁止する虚偽誇大広告、特定商取引法第44条第1項第1号で禁止する不実告知、並びに役務提供及び中途解約等をした消費者に対する返金債務につき特定商取引法第46条第1号に該当する債務の履行拒否又は不当な遅延行為を行っていた。かかる行為は、特定商取引法の禁止しているところであり、今回の違反行為の発生原因について、調査分析の上検証し、その結果について、平成28年9月24日までに、消費者庁長官まで文書にて報告すること。2.上記違反行為の再発防止に向けた、再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築し、当該再発防止策及び当該コンプライアンス体制について、本件業務停止命令に係る業務を再開する1か月前までに、消費者庁長官まで文書にて報告すること。
○ 認定した違反行為は、概要書面不交付、契約書面の記載不備、虚偽誇大広告、不実告知、債務不履行、債務履行の不当遅延及び財務内容の不開示です。
同社は、自社のスマートフォン向けサイト等に、月額9,500円の契約等により任意の月単位で全身脱毛の施術(以下「本件役務」という。)の提供が受けられるかのような広告を行っていましたが、実際には17万円を超えるコース等の勧誘を行っており、9,500円は、契約代金を一括で支払った場合の1か月当たりの金額でした。さらに、同社は、店舗における施術機器数、施術部屋数、エステティシャンの人数等に対して会員数が過大であり、予約を取ることが困難な状況にありながら、「間違いなく予約が取れます。」等と不実のことを告げて特定継続的役務提供契約(以下「本件役務提供契約」という。)を勧誘していました。2.認定した違反行為は以下のとおりです。(1)同社は、本件役務提供契約を締結するまでに、本件役務提供契約の概要について記載した書面を交付していませんでした。(概要書面不交付)(2)同社は、本件役務提供契約を締結した際、契約の相手方に交付する契約の内容を明らかにする書面に、本件役務の提供期間及び本件役務提供契約の締結を担当した者の氏名を記載していませんでした。(契約書面の記載不備)
(3)同社は、実際には、契約代金を一括で支払った場合の1か月当たりの対価が9,500円という計算になるにすぎないにもかかわらず、「月額制」、「通常月額9,500円」等と、単価9,500円の契約を任意の月単位で契約する制度であるかのような表示をし、さらに、「今なら初月+2ヶ月目も0円、2016年2月29日まで!」と、申込みの有効期限があるかのように表示していたが、実際には期限を過ぎても「2016年3月31日まで」、「2016年4月30日まで」と同様の表示を繰り返し、本件役務の対価並びに対価の支払時期及び方法について、実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示を行っていました。(虚偽誇大広告)(4)同社は、予約制のエステティックサロンであるところ、多数の会員が予約が取れないにもかかわらず、「1か月に1回は必ず予約が取れます。」「うちは間違いなく予約が取れます。」、「予約はすぐに取れる完全予約制です。」等、予約の取りやすさをうたい、本件役務の魅力を判断する要素となる事項について不実を告げて勧誘していました。(役務の内容に関する不実告知)2(5)同社は、クーリング・オフをした消費者に対し、速やかに消費者から受領した金銭を返還する義務があるにもかかわらず、返金に際して「○○店に取りに来てください。」と告げるなど、債務の履行を不当に遅らせていました。また、中途解約をした消費者に対し、「解約してもお金は返せません。それは無理です。」と返金を拒否したり、「銀行のシステムのトラブルで、振込みが遅れてしまいました。」、「銀行に連絡がちゃんとされていませんでした。」と繰り返すなど、本件役務提供契約の解除によって生じる債務の全部又は一部の履行を不当に遅延させたりしていました。(解約した消費者への返金に関する債務不履行)(6)同社は、原則として3か月に4回の頻度で施術を提供する債務を負っているにもかかわらず、上記債務の履行を不当に遅延させていました。(施術に関する債務履行の不当遅延)(7)同社は、本件役務提供に係る前払取引を行っており、業務及び財産の状況を記載した書類を、事業年度ごとに当該事業年度経過後3か月以内に作成し、本件役務提供契約に関する業務を行う事務所に遅滞なく備え置かなければならないところ、店舗に当該書面を備え置いていませんでした。(財務内容の不開示)
エステ業者に関するトラブルは多数寄せられます。
予約が取りにくいとか、高額な契約を勧められて断れなかったとか施術後に痛みや腫れが残るなどいろんなご相談が寄せられます。
今回のグロワールブリエのケースは、70店舗という大手のエステに対して出された業務停止処分となりますので、影響は大きいかと思います。
既に契約中の方であっても、契約期間内であれば、中途解約権を行使してゆくという選択肢も出てくるかもしれません。
長期にわたり継続的なサービスを受けるのがエステサービスの特徴です。
本当に信用できるかどうかで、契約関係を続けるかどうかの決断ということになるでしょう。
もし、クーリングオフや中途解約に関するご相談がありましたらお早めにご相談ください。初回無料相談 となります。
特定行政書士吉田安之
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