皆様こんにちは。クーリングオフ行政書士事務所行政書士吉田安之です。
私は投資マンションのクーリングオフという専用のサイトを開設しております。不動産マンションのクーリングオフ
この手の業者の勧誘は非常に執拗で長時間に渡ることも多く悪質な事例も数多く寄せられております。
宅地建物取引業法(以下「宅建業法」)ではそのような悪質業者を規制する為にいくつもの禁止行為を定めております。
その中の一つに手付金の貸与や信用供与による勧誘行為の禁止があります。
宅建業法第47条第3号三 手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
これは、金銭的なものを用意しないで話を聞くだけのつもりできた消費者に、契約を急がせる為に手付金を貸し付けたり立て替えたりすることを禁止するものとなります。
またこの中には、貸したり立替だけではなく分割で手付金を支払っても良いということも含まれます。
このことには、判例があり、買主が手付金について、その一部しか支払わなかったため、売主(宅建業者)が手付金の不払を理由として売買契約を解除し、買主に手付残金額の支払を請求したケースがあります(大阪高裁昭和58年11月30日判決)。裁判所は、次のとおり、手付契約の要物性(金銭の実際の授受が契約成立の要件であること)から、請求を否定しました。
もしこのようなケースで売主が宅建業者ならば、違法行為となります。
このように、手付を貸し付けたり、立替したり、分割払いで良いとしたりすることは、宅建業者には禁止されているわけです。
また手付を非常に安くするなども、場合によっては信用供与に該当する恐れもあるかと思われます。
しかしながら、もっと恐ろしいのは、手付金を0にするという契約をすることです。
一見消費者には、手付がいらないので有利な契約内容だと思われますが、実は大きな落とし穴があります。
これは、手付解除というものができなくなるという点にあります。
クーリングオフが出来ない場合は、通常手付放棄といった形で解除を探ることになります。
ところが、この手付が0円ですとこの手付解除ができなくなります。つまり、解除が困難になるということになります。
ただ一般的に手付0円というのも、この信用供与に該当し違法になるのではないか?という観点もあります。
しかしながら悪質業者はこの点を、確実にお互いに理解した上で定めたとか、利益供与ではないということを確認するだとか書面的に署名をさせてそのような不当行為ではないと書面証拠を揃えてしまうのです。
よって、手付解除も応じないとなると違約金キャンセルという道になるのですが、これは、こちらに解除権というよりかは、こちらの債務不履行によって相手方が解除して違約金請求をしてくればという前提なので、あくまでも契約継続を要求されるという道筋も残されます。
いずれにせよ、「手付金がない」という契約は「大変危険だ」と思ってよさそうです。
著者:行政書士吉田安之
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